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料理にとろみをつけたり、揚げ物の衣として活躍する片栗粉。料理の仕上がりをグッと良くしてくれる便利な食材ですが、「体に悪いのでは？」という噂を耳にしたことはありませんか？この記事では、片栗粉が体に与える影響を科学的根拠に基づいて解説し、上手な取り入れ方をご紹介します。
結論：片栗粉は適量なら体に悪くない
結論から言うと、片栗粉は適切な量を守って使えば、体に特別悪い成分ではありません。ただし、高い糖質含有量や消化性などについては正しく理解し、使い方に気をつけることが大切です。片栗粉の特性を知って上手に活用すれば、むしろ健康的な食生活をサポートすることができます。
片栗粉とは何か
片栗粉は、現在ではほとんどがじゃがいものでんぷんを原料としています。名前の由来は、かつて「カタクリ」というユリ科の植物の球根から取れるでんぷんを使っていたことからきています。明治以降にじゃがいもが大量栽培されるようになると、原材料はじゃがいものでんぷんに切り替わっていきました。
栄養成分と特徴
片栗粉100gの主な栄養成分は以下の通りです
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エネルギー：338kcal
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たんぱく質：0.1g
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脂質：0.1g
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炭水化物：81.6g
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カリウム：34mg
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カルシウム：10mg
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マグネシウム：6mg
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リン：40mg
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鉄：0.6mg
片栗粉の成分はほとんどが炭水化物（でんぷん）であり、たんぱく質などの栄養素はごくわずかしか含まれていません。
一般的な用途
片栗粉は60度前後で糊化（粘りが出る）する性質があり、以下のような用途で使われます
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あんかけ料理やスープのとろみ付け
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揚げ物の衣（唐揚げ、天ぷらなど）
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料理の食材同士を繋ぎ合わせるつなぎ（肉団子など）
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和菓子の原料（わらび餅、求肥など）
片栗粉が体に悪いと言われる理由
片栗粉が体に悪いと言われる主な理由は以下の4つです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
消化に悪いという説
片栗粉のでんぷんは、生の状態では「β-デンプン」という形態で、消化されにくい性質を持っています。しかし、加熱すると消化されやすい「α-デンプン」に変化します。
つまり、しっかり加熱すれば消化に問題はないのですが、加熱不十分のまま食べると消化不良を起こす可能性があります。ただし、大福の表面についている程度の少量なら、生でも問題ありません。
糖質量が多く太りやすい
片栗粉の糖質量は100gあたり約81.6gと多めです。比較すると
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片栗粉：81.6g/100g
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薄力粉：73.3g/100g
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米粉：81.3g/100g
カロリーも338kcal/100gと高く、そうめん1人前（二束）と同等です。このため、大量に摂取すると太る原因になりかねません。
ただし、料理のとろみ付けなどで使う程度（大さじ1杯≒9g）であれば、含まれる糖質は約7.3gで、カロリーも約30kcalと少量です。
お腹が張るという説
加熱不十分な片栗粉を摂取すると、消化されずに腸まで到達したでんぷんが腸内細菌によって発酵し、ガスが生成されることがあります。これがお腹の膨満感の原因となることがあります。
体を冷やすという説
片栗粉は体を冷やすと言われることがありますが、これは科学的根拠に乏しいです。この説はマクロビオティックで、片栗粉の原料であるじゃがいもが「陰性（体を冷やす食材）」に分類されていることに由来すると考えられます。
実際には、片栗粉そのものに体を冷やす作用はなく、むしろ料理にとろみをつければ保温効果が期待できます。一方で、冷たいデザートに使用する場合は、体を冷やす効果があるかもしれません。
片栗粉を使うときのポイント
片栗粉を健康的に取り入れるポイントを紹介します。
しっかりと加熱する
片栗粉は必ずしっかりと加熱して食べましょう。加熱することでβ-デンプンからα-デンプンへと変化し、消化しやすくなります。特に、チヂミなどの粉もの料理を作る場合は、中まで火が通っているか確認することが大切です。
過剰摂取を避ける
片栗粉は糖質が多く、カロリーも高いため、過剰摂取は避けましょう。とろみ付けや揚げ物の衣として使う場合は、たいてい大さじ1杯程度で十分です。わらび餅やチヂミなど、片栗粉を多く使う料理は食べ過ぎに注意しましょう。
栄養バランスを考える
片栗粉はほとんどが炭水化物で、他の栄養素はわずかしか含まれていません。料理に使う際は、たんぱく質や食物繊維を多く含む食材と組み合わせることで、栄養バランスを整えましょう。
片栗粉の代用品
ダイエット中の方や糖質を抑えたい方には、以下の代用品がおすすめです。
おからパウダー
おからパウダーは、大豆から豆腐を製造する際に出る「おから」を乾燥させた粉です。
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カロリー：421kcal/100g
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糖質：8.7g/100g
カロリーは高いものの、食物繊維が豊富で糖質が少ないため、GI値が低く脂肪として蓄積されにくいのが特徴です。とろみ付けや揚げ物の衣として使えます。
サイリウム（オオバコ粉）
サイリウムは、プランタゴ・オバタの種子の外皮を粉末にしたものです。
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カロリー：10.3kcal/100g
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糖質：1.3g/100g
極めて低カロリー・低糖質で、溶かすと粘りが出るため、とろみ付けに適しています。パンや焼き菓子にも活用できます。
おすすめの片栗粉
品質の良い片栗粉を選ぶ際のポイントは、原材料の品質と純度です。以下におすすめの商品を紹介します。
ビオマルシェ 国産有機片栗粉
北海道産の有機馬鈴薯（じゃがいも）を使用した片栗粉です。伝統的な製法で時間をかけて作られており、風味や甘みを感じられます。有機JASマークつきで安心です。
ホクレン片栗粉
北海道産（遺伝子組換えでない）のじゃがいもを原料にした片栗粉です。純度が高く、白さに優れ、透き通ったとろみがつくのが特徴です。
とろみちゃん
北海道産じゃがいも（遺伝子組換えでない）を使用した顆粒タイプの片栗粉です。溶けやすくだまになりにくいのが特徴で、添加物は使用されていません。
片栗粉の保存方法
片栗粉を最後まで美味しく安全に食べるための保存方法を紹介します。
開封前（賞味期限内）
開封前の片栗粉は、高温多湿を避けた風通しのよい場所で常温保存します。未開封なら賞味期限内（通常1年～1年半）の保存が可能です。
開封後（賞味期限内）
開封後は密封容器に移し替えて常温保存しましょう。密封容器がない場合は、ジッパー付き保存袋でも代用できます。カビやダニが発生しやすくなるため、1～2ヶ月程度で使い切ることをおすすめします。
まとめ：片栗粉と健康的な食生活
片栗粉が体に悪いと言われる主な理由は、高い糖質含有量と加熱不十分時の消化への影響です。しかし、適切な量を守り、しっかりと加熱して使えば問題ありません。
むしろ片栗粉のとろみ効果は、調味料を減らせる、満腹感を得やすい、保温効果があるなどのメリットがあります。特に体調不良時は、消化が速く胃腸に優しい片栗粉のとろみ料理がおすすめです。
また、短期のファスティング（断食）後の回復食としても、片栗粉を少量使ったスープなどは胃腸に負担をかけずに栄養を摂取できるため適しています。ファスティング後は消化器官が敏感になっているため、消化の良い食事から徐々に通常の食事に戻すことが大切で、その際に片栗粉のとろみスープは適度な栄養と満足感を与えてくれます。
日常の料理に上手に取り入れて、片栗粉のメリットを活かしましょう。
